『新編日本古典文学全集 (19) 和漢朗詠集』
平安人士が愛好した白楽天や貫之の絶唱が蘇る、王朝詞華集
平安時代、藤原公任が、朗詠に適した漢詩句と和歌八百余首を選りすぐり、春、夏、秋、冬、風、雨、帝王、将軍などの部立ごとに編纂したアンソロジーです。 全編を通して、平安の昔から現代にいたるまで親しまれてきた名句が綺羅星のごとく並び、王朝の風流や美意識が匂い立ってくるようです。 たとえばふだん目にする「雪・月・花」という言葉。風流な自然美の象徴としてしばしば用いられますが、これをひとまとまりの言葉として文学作品に用いたのは唐代の大詩人、白楽天でした。そして、藤原公任は『和漢朗詠集』にその詩句を取り上げ、以来、日本に定着していったのです。 漢詩文と和文のみごとな融合は、後の和漢混淆文を生む原動力となり、一方では、謡曲などに大きな影響を与えました。書道の手本として愛好された歴史もあることから、本文には書家の選定による優れた古写本の写真をあしらい、巻末には、作者略伝、漢詩句全文一覧、漢詩句索引、和歌初句索引など、付録を満載しました。 ぜひこの機会に、平安時代に生まれた王朝詞華集をご一読ください。 謡曲を始めとした後代への影響について書かれているのが有難いcFQ2f7LRuLYP.icon
2022-07-11 11:57
2021-10-30 18:40